ホテルの客室清掃はきつい仕事?

ホテルの客室清掃はきつい仕事?

「ホテル清掃って、体力がいるし、けっこう大変そう…」

そう思う人も多いでしょう。たしかに、体を動かすし、チェックアウトが集中する時間帯は慌ただしくなることもあります。

でも、実際に現場で働いている人たちの声を聞くと、「意外と続けやすい」「生活スタイルに合っている」といった前向きな声も多くあります。

■ 仕事は単純だがスキルが必要

ホテルの客室清掃では、主に以下のような業務を行います:

• ベッドメイク

• 掃除機がけ・床の拭き掃除

• 浴室・トイレの清掃

• タオルやアメニティ(石けんやドリンクなど)の補充

基本的には1人で1室ずつ対応するため、静かな環境で自分のペースで作業できます。接客がほとんどないため、黙々と作業に集中したい人に向いています。

■ 働いている人のリアルな声

▶ 東京都・58歳女性のケース:

「未経験から始めたので、最初は“時間内に終わるのか”という不安がありました。

でも、先輩スタッフが丁寧に教えてくれて、2週間ほどで仕事の流れをつかむことができました。

今では午前中だけで10部屋ほどをこなしています。

孫の世話をしているため、午前だけのシフトは本当に助かります。

仕事中は一人なので、気を使わず静かに働けるのが何よりも嬉しいです。

▶ 大阪・45歳男性のケース:

「以前はIT系の仕事をしていて、パソコンの前に座りっぱなし。肩こりもひどくて、転職を決意しました。

最初は“清掃って体力がないと無理かな”と思っていましたが、作業のコツを覚えれば案外スムーズです。

例えば、ベッドメイクにもやり方のコツがあって、効率的に動けば体の負担も少なくなります。

最初の1か月は筋肉痛にもなりましたが、今では朝に体を動かすことで気分もスッキリします。

午後は趣味の音楽活動にも時間が使えるので、生活にメリハリが出て満足しています。」

■ 最新データで見る現場の変化

観光需要が回復中: 2025年5月の訪日外国人数は約369.3万人。前年比+21.5%で、単月としては過去最高を記録。

求人ニーズも増加中: 観光回復に伴い、ホテルや旅館の清掃スタッフの求人も急増中。

離職率は改善傾向: 厚生労働省「令和5年(2023年)雇用動向調査」によると、宿泊・飲食サービス業の離職率は18.2%。前年より微減しており、職場環境の改善が進んでいる証拠です。

■ 現場の工夫で“きつさ”が軽減されている

• 担当部屋数を6〜8室に制限する取り組み。

• エレベーター近くの部屋を優先して割り当て、カート移動の負担を減少。

• 軽量モップや電動掃除機などの導入で腰や関節への負担を軽減。

このような対策が進んでいるおかげで、以前のような「1日15室以上の清掃」などの過酷な労働環境は減少傾向にあります。

■ 清掃の仕事の魅力って?

時間の融通が利く: 1日4時間~、午前中だけなど、家庭や趣味と両立しやすい。

人間関係のストレスが少ない: 基本的に一人作業。

安定した需要: 観光客数が増えており、常に人手不足。求人数も豊富。

年齢・経験不問: 未経験からでも始めやすく、高齢者も活躍できる職場。

■ まとめ:自分に合えば“心地よい働き方”になる

ホテル清掃は「楽な仕事」ではないかもしれません。

でも、「人付き合いに疲れた」「静かに働きたい」「短時間だけ働きたい」といった人にとっては、意外とぴったりの選択肢です。

特別なスキルもいらず、年齢も関係なし。働きながら自分なりのやり方を身につけていけます。

“自分の生活に合った、ほどよく体を動かせる仕事”を探しているなら、ホテル清掃は意外な穴場かもしれません。

政府観光局